地鎮祭

先日、木造住宅K様邸の地鎮祭がありました。
建築の工事をする際には、いくつかの儀式があります。
地鎮祭は、その土地の神様を祀って、工事の無事や安全とご家族の繁栄をお祈りします。
しかし近頃はそんな祭りごとを省略したり、簡略化することも多くなりました。

設計は、いつもお世話になっている事務所のS先生です。
S先生の家は代々大工職人で、木造住宅や寺社仏閣については、細かな所まで知識が豊富です。
先生自身は「不器用だから大工にはならなかった」と言っていたけど、簡略化や手抜きが嫌いで職人気質な先生です。

今回の地鎮祭についても、ブツブツつぶやきが多かったです。
「地鎮祭は午後からやります」と、業者から連絡をもらうと
「普通は午前中にやるものだよ。午後では山から切ってきた竹が萎びてしまう。そんな竹では申し訳ないだろう」と。
実際に現場に行くと、四隅に竹は立てられていませんでした。
その土地の神さまに君臨していただくための場所は、清浄な聖域でなくてはなりません。
竹は清浄な植物とされていて、四隅に竹を立てしめ縄を張り巡らし、聖域であることを示すのだそうです。

私も格式ばったことは苦手ですが、自分の国の昔を知ることは好きです。
このような祭りごとをすることについて、自分の家を建てることについての思いの深さは、今とは比べものにならないような気がします。
自分がこの家に一生住み、子供や孫までも住み継ぐための家を建てるという意気込みは、今の人にはないように思います。

しかし、このK様邸は三世帯が一つ屋根の下で暮らすための、200㎡を超える大きな木造住宅なのです。
清浄な聖域に土地の神さまをお迎えして、ご家族の繁栄をお祈りしつつ安全祈願をしたかったと思いました。

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